神は、自分が造った大きな美しい世界を見て、とても喜ばれた。けれども、もっとすばらしいもの、この世で一番すばらしいものを造りたいと考えておられた。それは人間である。「人間を造ろう。そして人間には、考えたり、私のことを知ったり、愛したりできる心を与えよう。それから、この世界をきちんと治めていく責任も持たせよう」
こう思われた神は、まず男の人を造り、アダムと名づけた。アダムのまわりには、いっしょに生活をしたり遊んだりする、たくさんの動物がいた。それなのに、アダムはあまり楽しそうではない。そこで神は、アダムの妻となるように、エバという名の女の人を造られた。二人が話し合い、助け合い、愛し合えるようにしてくださったのだ。神はアダムとエバをとても愛し、二人が住むために、美しい園をくださった。
「二人で子どもを育て、この世界を守る手伝いをさせなさい。それから、この園にある私の造ったものは、すべてあなたたちのよい友だちです。けれども、園の真ん中にあるあの一本の木の実だけは、食べてはいけない。あれはよいことと、悪いこととを知る木です。あの木の実を食べると、あなたたちは死んでしまう」と神はおっしやった。
また「この世界を守っていくために、私の言うことをよく聞いて、そのとおりにしなさい」とも言われた。アダムとエバは、神の言葉に従ってエデンの園の番人となり、草や花、動物たちのそれぞれに名前をつけ、心をこめて世話をした。夕方涼しくなると、神はきまって二人のところにやってきて、二人が楽しそうに報告する一日のできごとを聞いてくださるのだった。